大判例

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横浜地方裁判所 昭和23年(ワ)316号 判決

原告 勝又幸太郎

被告 神奈川繊維雜貨株式会社

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告は「被告会社が昭和二十三年九月六日神奈川繊維製品株式会社会議室において、開催した臨時株主総会においてなした会社解散の決議はこれを取消す。訴訟費用は被告の負担とす。」との判決を求め、その請求原因として、

被告会社は生活用品の生産、加工、販賣を目的として昭和二十二年二月十四日設立された総株数千八百株(資本金十八万円、一株の金額百円)の株式会社で、原告はその取締役であつたが、被告会社は同二十三年九月六日神奈川繊維製品株式会社会議室において、臨時株主総会を開き、出席株数千五百五十株中九百八十株を以て、会社を解散する旨の決議がなされた。

然しながら、右決議は招集手続に法令の違背があり、取消さるべきである。すなわち右臨時株主総会の招集の通知は同年八月二十七日に発送されたもので商法所定の二週間の期間を存しない違法のものであるから、右通知に基いて開かれた本件臨時株主総会の決議の取消を求めるため、本訴に及んだと述べ、被告の主張事実中被告会社に被告主張のような欠損のあつた事実は認めるが、その他の事実は否認すると答えた。<立証省略>

被告は主文と同旨の判決を求め、答弁として、被告が原告主張のような株式会社であり、原告がその取締役であつたこと、昭和二十三年九月六日の臨時株主総会で原告主張のとおり会社解散の決議がなされたことはこれを認める。

右臨時株主総会の招集通知は同年八月二十五日発送され、原告主張の如く同年同月二十七日に発送されたものではないが、結局招集通知の発送は右臨時株主総会との間に二週間の法定期間を存しないでなされたもので、この点において右臨時株主総会は瑕疵あるを免れない。

然しながら、本件臨時株主総会の決議を取消すことは左の理由によつて不適当である。

すなわち、右期日に臨時株主総会を招集することにつき原告等は異議なく決定したし、被告会社は昭和二十二年八月十五日営業開始以來翌二十三年三月三十一日に至るまでに、営業不振で合計一万五千三百五十三円八十銭の欠損があり、このまゝ存続しても欠損が重なるばかりでこれに対し將來何等の対策がないばかりか、たとえ本件決議が取消されるとしても現在被告会社の解散を要望する株主は総株数千八百株中千五百株の多きに達しているから、再び解散決議がなされることは必至であり、このような事情のもとに本件決議の取消をなすことは不適当であるから原告の訴は棄却さるべきであると述べた。<立証省略>

三、理  由

被告会社が株数千八百株(資本金十八万円、一株の金額百円)の生活用品の生産、加工、販賣を目的として昭和二十二年二月十四日設立された株式会社で、原告はその取締役であつたこと、同二十三年九月六日臨時株主総会が神奈川繊維製品株式会社会議室で開かれ、出席株数千五百五十株中九百八十株を以て、会社解散の決議がなされたことは何れも当事者間に爭がない。

成立に爭のない甲第一号証によれば被告会社株主川本季雄に対する本件臨時株主総会招集の通知は同年八月二十七日発送されたことが認められ、反証なき限り他の株主に対しても同時に発送されたものと推認されるから、同日から総会開催の日たる右九月六日までに二週間の法定期間が存しなかつたことは計数上明らかである。

從つて本件臨時株主総会の決議はその招集手続が法令に違反してなされた瑕疵ある決議である。

然し被告会社が営業開始以來、昭和二十三年三月三十一日までの間に、合計金一万五千三百五十三円八十銭の欠損が生じたことは当事者間に爭ないところであり、証人岡村道雄・三枝仁七・山野井梅芳・荒木善一・神谷泰藏の各証言、被告会社代表者上坂恭市郎本人訊問の結果と右本人訊問の結果によつて眞正に成立したと認められる甲第十二号証とをそう合すれば、被告会社は営業開始以來営業不振で、將來に対する計画もなく、このまゝ存続しても欠損を重ねるばかりであつたので株主の大多数が解散を希望するにいたり、前記の解散決議がなされたものであり、右決議が違法であるとして取消されたとしても、被告会社の総株数千八百株のうち、少くとも、千四百株の株主が解散に賛成である事実が認められ、再び会社解散の決議が行われる現況にあることがうかゞわれるから、このような事情の下に本件決議を取消すことは不適当といわねばならぬ。

よつて原告の請求を棄却し、訴訟費用は敗訴した原告の負担とし、主文のとおり判決する。

(裁判官 牧野威夫 荒木大任 草野隆一)

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